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被災地支援から戻った従業員の報告④

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2012年10月29日~11月3日までの間、岩手県陸前高田市での生活支援を終えて戻った、当センター従業員、佐藤さんのレポートです。

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JDFいわて支援センターでの支援活動報告

 ●支援活動に至る経過

今回の震災で、陸前高田市は人口約2万人のうち1555人の方々が犠牲となり、今なお行方不明の方々が平成24年11月9日現在221人います。市街地も壊滅的な被害を受け、街が消えたといっても過言ではないような状況です。そして、市の運営の中枢となる市役所も津波を受け、市職員429名中、約3割に当たる113名の方が犠牲となっています。保健師の方々も8名中6名が亡くなりました。文書や関係資料も流出し、行政機能が一時期ストップしました。

こういった状況の中様々な問題が浮かび上がりました。犠牲者の数が、障害者は健常者の2倍以上であったこと。そして、震災前後の障害者の置かれた状況の把握ができないため、障害者が何に困り何がどれだけ必要かがわからないこと。そして、今後こういった状況を繰り返さないための備えに何が必要なのか把握すること。現時点で仮設住宅などに居住している高齢者や障害者の通院や通学など、生活を支えるための支援の必要性。

支援の内容

このような、被災地の中でも特異な、実態すら把握できていない陸前高田市の状況に対し、「障害者や高齢者等要援護者の状況把握のための訪問調査」と、「今必要な生活支援」という仕事を担うため、JDF(日本障害フォーラム)が岩手支援センターを今年4月に立ち上げました。そして支援センターの活動を支えるため「きょうされん」と「ゼンコロ」が現地支援に入ることとなり、主に「きょうされん」が訪問調査を、「ゼンコロ」が通院通学等の送迎などを行う生活支援を担当することになりました。

支援活動をしていく上で、さまざまな問題が出てきました。例を挙げると、調査に必要不可欠な個人情報を得るため、公から民への異例となる個人情報の開示の問題。県内の被災地域への支援姿勢や意識の違いの問題。県の被災地支援の取組み姿勢の問題。4億7千万円という予算がついた要援護者調査や事業所支援のあり方の問題、などなど。こうした諸問題はありますが、JDFいわて支援センターは地道な活動を続け、訪問調査に関しては10月をもって一定のめどがつき、厳しい冬に向かうこれからは、現地事務局スタッフの3人で生活支援を中心に行っていくことになっています。

今後の課題

JDFいわて支援センターは2年という期限を切った取り組みです。あと残り1年半で必要とされることは、訪問調査で聞き取ったことをいかに施策に結び付けていくかということと、生活支援の取り組みを現地の事業所に引き継いでいくことです。支援センターの事務局の方は、訪問調査について「聞き取った責任は重い」と仰っていました。当初は外部からJDFいわて支援センターが来て支援に当たっていることに非協力的な姿勢も多かったとのことですが、現在、市役所の若手福祉課職員が、自分たちの手で陸前高田市の福祉をゼロから築き上げる、と熱意を持って協力的に取り組んでくれていることに希望を見出しているようでした。

現地支援センターとの調整の結果、厳しい冬場の道路事情をなどを勘案して、ゼンコロは11月をもって一旦支援から外れることになります。しかし、公共交通網等インフラの整備もまだ整っていない中、仮設住宅等で不自由な暮らしを続けている障害者や高齢者が数多くいらっしゃるのは想像に難くありません。例えば片道15~20キロの道のりを通学や通院の為に10000円~15000円のタクシー代を払っていける人はごくわずかだと思います。それができない人はそれを我慢せざるを得ない状況のようです。生活支援としての送迎サービスは今後も行われていくものの、支援センターの人員は3名でうち2名が自分の事業所の仕事もある中での支援であり、ニーズに十分に応えるだけの人的余力は非常に限られていると思います。そういったことから、ゼンコロも冬季は一旦引き揚げるものの、これまで経験した強みを生かして来年度再び支援の一端を担うことができれば、各事業所大変なこととは思いますが、非常に意義あるものになることと思います。

現地の要望

今後ゼンコロに望むこととして、来年度も引き続き支援に入るならば、一度入った経験者が来てほしいことと、これまでは月曜日から日曜日というサイクルの支援でしたが、現地の現在の状況からいって月曜日から金曜日が望ましいとのことでした。

●支援活動を通して感じたこと

「絆」という言葉が震災後、クローズアップされましたが、物事は多面的だなということを今回の被災地支援で強く感じました。確かに今回の震災で日本国民の資質の高さが改めて内外に示されたことは事実であり、誇らしく思います。しかし一方、私が今回の被災地支援で見聞きした事柄は負の側面のものが多かったように思います。例えば市会議員、県会議員、国会議員の姿が見えない、と現地の方は仰っていました。何のためにこういった方々はいるのか。また、家をなくした方が新しく家を建てる際の補助金が200万円程度であること。復興予算の使途がメディアで問題に上がっていますが、優先事項はいったい何なのか。また、瓦礫の受け入れ拒否等で東北以外の地域の「絆」が問われることがありましたが、被災地域内においても意識格差がありました。前述した内陸と沿岸地域。県と市、等々。

様々な情報が、今日いとも簡単に入ってきます。そういった情報の、ある一面にだけ踊らされることのないよう冷静な目を持つことの大切さと、現地で実際に見聞きすることの大切さを今回の支援活動で感じました。

トーコロ青葉ワークセンター 支援課支援係 佐藤 健陽

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厳しい冬に向かい、ゼンコロの組織立っての支援は11月中をもって一旦終了します。当初年内を想定していましたが、冬場の道路事情などを考えると、不慣れな遠方からの支援者にはあまりにも危険が大きいとの現地支援センターの判断もあって早めに打ち切り、現地に後事をゆだねる事にることになったものです。冬場の東北での支援活動は、地元の方でも大変なことだと想像できます。今こそ県や周辺市など行政が関与すべき時だと思います。

佐藤さんお疲れ様でした。今後の支援のあり方についての提案も参考になります。

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