トーコロ青葉ワークセンター

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トーコロ青葉ワークセンター利用者の生活場面の状況

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2014.10.15

青葉通信10月号巻頭言

事業所長 武者明彦

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 10月3日から7日までの間、JDFみやぎの要請を受けて、島嶼(とうしょ)部で被災して仮設住宅で暮らす障害者の暮らしぶりを調査するため、宮城県内のいくつかの島々を訪問してきました。このレポートは次号の青葉通信でも報告させていただきます。本稿では、当センターの利用者の皆さんの生活場面の状況についてお知らせします。

 

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はじめに

トーコロ青葉ワークセンターは、養護学校(現在の特別支援学校)の卒後の受け皿が欲しいという切実な要請に応えて1990年に身体障害者通所授産施設としてオープンしました。また1995年には建物を増築し、1フロアずつを使って知的と精神の通所授産施設を開設し、当時全国的にも類がない、身体、知的、精神三障害合築の通所授産施設となりました。2007年には障害者自立支援法に基づく多機能型事業所に移行して、現在に至ります。今年で設立以来24 年が経過したわけです。

 

当センター利用者の一般的な状況

開設当時18歳だった利用者は42歳になり、同居するご家族のほとんどが70歳代に差し掛かっています。障害も多様化し身体、知的、精神の三障害にとどまらず、近年は発達障害や高次脳機能障害などの利用者も増えつつあります。また、複数の手帳を持つ利用者も増えています。

昨年度(2013年度)末の利用者総数は100人(身体障害者16人、知的障害者59人、精神障害者25人)、平均年齢は37.4歳、在籍年数 は9.4年でした。利用者の年齢分布では最近特別支援学校などを卒業して利用開始した10代、20代は23人、30代が30人、40代が35人、50代が12人となっていて、40歳以上の利用者が半数近くを占めています。

 

生活場面の状況の把握

通所施設は日中支援の場所ですが、家庭での生活が維持できなくなれば通所もできなくなるので、年2回行っている面談では、ご家族が高齢になって支援が得られなくなる前に何か準備をしているかどうかをお尋ねすることにしています。従来の個別支援計画は、施設での日中活動場面、つまり作業活動やプログラム活動を通しての支援に重点を置いてきましたが、それとは別に、生活場面の事柄について面談などを通じて状況を把握し、地域生活を支える他の機関との連携で可能な限り支援して行く方向に重点を移しつつあります。

当センターでは、5月から7月の間で今年度上半期の個別支援計画見直しのための面談を実施しました。97人の利用者とそのご家族、支援機関やグループホームの職員等を交え、利用者の生活面の変化を把握し今後必要となると思われる支援について想定を行いました。年を経るごとに相談内容も深刻さを加え、利用者支援というよりもそのご家族についての支援が必要なケースも増えてきています。

 

今回の面談を通じてわかった生活状況

① 家族(親、兄弟)同居の利用者は70人です。家族の高齢化も著しく進んでおり父親または母親と二人暮らしの利用者も増えています。

② 現在グループホームで生活している利用者は、5人が新たに利用を開始して14人になりました。また近い将来のグループホーム利用を想定して、見学や短期入所(ショートステイ)を希望する利用者(家族)は24人いました。この中にはすでに短期入所を試したことがある5人が含まれています。

③ 近い将来グループホームをと考えている利用者(家族)のうち、グループホームを親亡き後の生活の場と考えている家族は17人に上りました。一方グループホームを利用するには家賃などの費用も掛かるため、経済的不安から二の足を踏む家族も複数あります。

④ 自宅やアパートなどで一人住まい、ないしは家庭生活を営んでいる利用者が14人いますが、そのうち8人が訪問看護や居宅支援(ホームヘルパー)、移動支援、成年後見制度等の社会資源を活用しながらの地域生活となっています。

⑤ 生活保護の受給者が13人いますが、ほとんどがグループホームや公営住宅、アパートで独居している利用者で、生活保護が地域生活の最後の支えとなっています。

⑥ 障害基礎年金の無い利用者が15人います。そのうち9人は年金が無く生保護も受給していません。未成年者の場合、今後申請により年金を受けられる可能性がありますが、どちらの受給もできない場合、家族の支援が受けられなくなったときの経済基盤をどうするのかの心配につながります。就職して独立できればそれに越したことはありませんが、施設での就労の場合、残念ながら今の工賃レベルは地域生活を支えられるだけの金額にはなっていません。

 

当センターが行ってゆく生活面での支援の例

こうした現状を踏まえ、今年度下半期は以下の取組を重点的に行います。

① 各市の担当窓口や計画相談事業所に対し、福祉サービスを必要としている背景を伝え、利用できるよう後押しをしてゆきます。利用可能な社会資源の情報を利用者(家族)に伝えて行くことや、地域生活支援センターへの登録を促してゆくことも行います。

② 利用者の多くが家族同居であり、ご家族の高齢化が進んでいる中、ご家族の支援が得られなくなった後の生活への不安が年を経るごとに大きくなっています。グループホーム移行を希望する利用者について、この半年をめどに見学から短期入所利用と、不安を解消しながら段階的に体験して行けるように支援を行います。

③ そのための準備として、家事の手伝い、清掃、買い物、着替え、髭剃り、洗髪など、自分でできる事を増やすため家庭と連携して支援をします。また、休日の過ごし方を豊かなものにするため、公共交通機関の利用や移動支援の活用などを促して行きます。

④ プログラム活動への参加を促し、自立に向けた準備を後押しします。現在実施しているプログラムは、以下のとおりです。

・体力づくりに役立つもの:スポーツ、ヨガ、散歩など

・趣味や自己表現に役立つもの:手工芸、歌う会など

・生活に幅を持たせるもの:調理、読書、農作業など

・就労や社会参加に役立つもの:パソコン、ボランティアなど

⑤ 地域生活を安心して営む上で必要となる成年後見制度の理解を進めるために、青葉通信とホームページに司法書士による解説を連載してゆきます。

 

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最後に、大切なお知らせです。12月6日の土曜日に、皆さんもご存知の高橋聡英(たかはしとしひで)司法書士による、成年後見制度に関する実例も踏まえた研修会を開催することにしています。質問や相談の時間もとりたいと思いますので、興味のある方にもお声掛けいただき、お誘いあわせの上ご参加ください。

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