2014.12.15
青葉通信12月号巻頭言
事業所長 武者明彦
街の紅葉も先週あたりがピークだったようで、落ち葉が舞う季節となりました。先月14日には群馬県の原田農園と埼玉県の花園フォレストに日帰り旅行に行ってきました。初めてのリンゴ狩りをやって楽しかった。昼食のしゃぶしゃぶがすごくおいしかった。ローズガーデンを散策したりベンチでおしゃべりしたり、写真を撮ったりのんびり過ごせて楽しかった。等々アンケート結果を見てもみなさんそれぞれに楽しんできたことがうかがえます。日帰り旅行については別の記事でお知らせすることにして、本稿では上半期の事業結果についてご報告させていただきます。
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1.総括
本年度当初に、近隣の特別支援学校卒業生の動向や現在の地域のニーズを踏まえ、就労継続支援B型事業と就労移行支援事業の利用定員の変更を実施しました。多機能型事業所としての定員は95名のままとしました。家族と同居する利用者が多い中、利用者とその家族の高齢化が著しく進んでおり、家族による支援が困難になると思われる家庭や、家族への支援が必要になっている家庭が増えています。こうした実態を踏まえ、緊急度合いの高い利用者から自立生活を視野に入れた支援計画を策定しました。また、こうした事業の内容や利用者の状況については、毎月発行する「青葉通信」とホームページを通じて広報を行いました。
① 就労継続支援B型事業(定員80名から87名に変更)
前年度は年間を通じて在籍者が80名定員を超える状況が続き、今後も実習依頼や利用希望者が増える見通しであることから、支援体制を強化したうえで定員を87名に増やしました。
就労支援事業の売上高は、メールサービス事業を中心に前年度実績を何とか維持している状況が続いています。差益管理をしっかり行うと共に、物品販売や受託作業などにも仕事の幅を広げながら、加工高についても前年実績並みの確保を行うことができました。今年に入って、中央官庁や自治体から障害者優先調達推進法を念頭に置いたと思われる仕事の引き合いが少しずつ増えてきました。大きなチャンスととらえ積極的に受注しているところです。
② 就労移行支援事業(定員15名から8名に変更)
当期においては4名が就職することができました。専門の就労支援チームがかかわることで就労実績が着実に上がる一方、期間の定めのある就労移行支援事業を利用する前に、一定の就労レベルまで引き上げるための事前準備期間が必要な利用者が増えています。こうした背景もあって年間を通じて定員充足が難しくなってきている実態を踏まえ定員変更を行いました。
③ 障害者計画相談支援事業への協力
前年度に開始した障害者計画相談支援事業には、事業課の従業員1名が兼務で関わり、100名あまりの計画策定に携わりました。
④ 委託訓練の実施
東京しごと財団が実施する知識・技能習得訓練コースに、「メール作業の基本技術の習得」を訓練内容として2名の訓練生を受入れました。両名ともに無事80時間の訓練を終了することができました。
⑤ 福祉サービス第三者評価の実施
利用者本位のサービスをより向上させるとともに、従業員にとって働き甲斐のある職場を実現する指標とするため、東京都民間社会福祉施設サービス推進費補助を受け実施しているところです。当期においては利用者調査と経営層ならびに従業員調査が完了しました。
⑥ 事業継続計画(BCP)を策定
前年度中に、大規模震災などで被害を受けても中心業務を継続することができるよう、事業継続計画を策定しました。当期においては、帰宅困難者の受入を想定した、東京都条例に基づく消防計画の改定版を策定する作業に着手しました。これらの計画の策定作業に係ることにより従業員に万一の事態に備える意識が定着しつつあります。日常の危機管理にも活用していきます。
2.事業状況の概要
① 就労支援事業の収支
工賃の原資となる作業活動の収支です。赤字を解消させることを目標に中期的に改善に努めてきましたが、当期においてようやく187万円の黒字を計上することができました。売上高は5053万円で、前年度増減で170万円の増、前年度に対する伸び率は103.5%、工賃の原資となる加工高は2273万円で、増減では52万円の増、伸び率は102.3%でした。加工高比率は45.0%で前年度より少し下がりました。
② 福祉事業の収支
施設運営に必要な給付費などによる事業の収支です。多機能型全体としての給付費収入は前年同期に比べ430万円増加しました。4名が就職したこともあり前年度の比べて利用者が3名減少していますが、通所率が高まったことが影響していると思われます。
③ 当期活動増減差額
すべての事業の合計損益は1077万円の黒字となりました。前年度は615万円であったので462万円好転しています。就労支援事業が黒字となり、福祉事業も順調であったことが要因です。
3.人員の推移
期中における在籍者の推移です。従業員の増減や異動はありませんでした。利用者は3名が新規に利用を開始し6名が利用契約を終了したため、期中増減では3名の減となりました。当期は就労移行支援事業を通じて4名が就職を果たしました。
4.処遇状況
① 工賃
中期事業計画で利用者の工賃向上に向けた計画を策定していますが、当期においても可能な限りの改定を行いました。時間工賃の見直しが必要な利用者について、作業評価に基づき改訂を実施しました。夏季賞与は工賃の月額換算額の1.5ヶ月分を支給しました。
② 福利厚生
3月28日に花見を、8月1日に暑気払いを、互助会の企画で実施しました。9月27日に青葉祭を実施しました。準備は利用者も含む実行委員会を組織して行いました。
5.個別事業状況
① 支援課 総務厚生担当(総務部門)
事務センターや所内の各部署等との連携をとりながら勤怠管理、実習や見学者の受入れ、入退所の手続き、見学者対応、プログラムの企画や調整など、多岐にわたる業務を円滑に遂行しました。
② 支援課 就労移行支援係(就労移行支援事業)
ハローワークや各地域の就労支援センターなど外部の支援機関や医療機関、事業所内においても作業訓練を担当する部署などと連携を密に行い、より良い支援が行えるように心がけています。こうした取り組みの結果、上半期4名が就職に結びつくことができました。そのうち1名は東京都教育委員会のチャレンジ雇用によるものでした。職場定着支援としてのアフターフォローを継続的に実施しているため、当期の離職者はいませんでした。
個別支援計画を作る際には、可能な限り家族等の参加を促し、利用者も含め十分な情報交換を行いながら個別面談を通じて目標を作成しています。支援計画は実績や達成状況を踏まえ、3カ月ごとの見直しを行っています。上半期後半より週間スケジュールの見直しを始めました。下半期に向けて更に充実した支援メニューを作成していきます。また、実習者を受入れましたが、新規利用には繋がりませんでした。利用定員に満たない状況が常態化しているため、新規利用者の募集方法を検討し、下半期以降の充足に努めていきます。
③ 営業課 営業担当
売上高は前年度実績を上回ることができましたが、今年度計画を上回ることはできませんでした。加工高は、前年度実績、今年度計画とも上回ることができました。主力のメールサービス関連の受注においては、定期物以外では見積競争や入札が多く、単価を大幅に下げ、採算ベースぎりぎりのものもやっと受注できるといった状況になっています。また、障害者優先調達推進法を念頭にしたと思われる商談の中から、いくつかの案件を受注に結びつけることができました。
メールサービス以外の事業(簡易作業、防災、物販、清掃、データ入力、新規事業)についても充実させていくことが求められているところです。清掃作業については、八潮配送センターに加え近隣の小児クリニックの室内清掃業務を受託できましたが、公園清掃業務は、顧客のニーズに沿った対応が難しいため受注を断念しました。入力業務については、前年度後半に受注した大手店舗の顧客データ入力を多くの利用者が対応できるようになってきており、それに伴って件数を増やして対応できるようにしました。
④ 営業課 情報処理係(就労継続支援B型事業、A班)
当期は入力作業の繁忙状況が続いたため、利用者の出力作業への関わりが減少しました。下半期は入力作業が若干減少することが見込まれるので、再び利用者の出力作業での活躍の機会を提供していきます。 前年度から始まった新規の入力作業について、各利用者の習熟度に合わせた作業範囲を設定し、ミスのない成果となるよう工夫を行いました。当期の入力作業における月平均売上高は92千円ほどでした。下半期は、少なくとも上半期を超える売上高を当該入力作業で得ることを目標としています。
入力作業繁忙のため、高次脳機能バランサー(ソフト)の活用機会が減少しました。また、より必要度の高い利用者ほど、ラジオ体操や関連プログラムへの参加が少ない傾向にありました。下半期は、高次脳機能障害のある利用者については高次脳機能バランサーの活用頻度を多くするとともに、身体機能維持が必要な利用者については機能維持に結びつくプログラムへの参加を促していきます。
⑤ 事業課(就労継続支援B型事業)全般
メールサービス作業では、品質管理を最優先課題として取り組んだ結果、ミスロスを最小限に抑えることができました。個人情報を数多く取り扱うことから、常にプライバシーを守る意識を持たせる取り組みを行いながら漏洩防止に努めました。通所が不安定な利用者が多く在籍する部署においては、作業が予定通りに進まないことも多く、係間で常時進捗状況の情報交換を行いながら、納期に支障を起たさないよう調整を行いました。
清掃作業では外部清掃2ヶ所を受託していますが、高い技術のある利用者が未収得の利用者に技術指導を行い、スキルアップに貢献しました。また、館内清掃でも同様に技術のある利用者が基本作業を習得できていない利用者に作業指導を行う形で技術向上に取り組んでいます。
ヤマトメール便配達では知的障害者を中心に配達業務を行っていますが、個別の課題を設けながらスキルの向上を目指して支援を行った結果、予想以上の成果が得られました。
プログラム活動では、落ち着いて作業に取り組むことが困難になっている利用者に参加を促すなど、通所することの動機付けを行いました。係ごとの総括は、以下のとおりです。
⑥ 事業課 一係(B班、C班)
係長が工務を兼務することとしました。入荷物のチェックや外注管理を中心に、営業からのサポートを受けながら業務にあたりました。基本作業に徹し、ミスロスを出さない体制を整えました。 熟練度の高い利用者が多く在籍していることから、内作率の向上に努めました。 通所が不安定な利用者については本人、家族、支援機関等から情報を収集し、通所できるよう支援しました。グループホーム入居者の支援は、世話人と情報を共有し取り組みました。 物品販売として被災地施設の商品とオーラルピースの販売を行いました。ショーケースへの商品陳列、販促用の幟旗の出し入れ、接客等に利用者が主体的に関わり取り組みました。
⑦ 事業課 二係(D班、E班)
常勤従業員1名を内部異動により配置しました。ヤマトメール便配達を二係の作業として取り込むための体制作りを行いました。ミスロスを減らすため、整理整頓を心がけました。一般就労を希望する利用者が入所したことから、関係機関と連携し情報を共有しました。障害の特性に配慮し、必要に応じて席替えを行いました。作業室内で集中して作業に就くことが困難な利用者には、ゴミ回収やプログラムの準備など補助的な作業の手伝いを試行しました。
⑧ 事業課 三係(F班、G班)
新規利用者の見学や実習の受入れを積極的に行いました。安定した通所ができるよう関係機関と連携し、支援に当たりました。体調が不安定な利用者に対して、嘱託医や医療機関に相談し対応すると同時に、必要に応じて受診同行を行いました。作業面においては、それぞれ得意な部分を引き出せるよう支援内容を組み立てました。当期はSSTを実施できませんでしたが、行える体制を現在も調整中です。
6.その他
① 組織・人事
当期においては特段報告すべき変更はありませんでした。
② 教育・研修・支援
法人内研修を含む7コースの研修に、非常勤従業員を含む延べ12名を参加させました。 外部研修としては、精神保健福祉基礎研修、支援力を高める研修、高次脳機能障害者相談支援研修、障害者雇用セミナーに参加させました。内部研修としては、法人が行う新人研修会に2名を、ゼンコロ主催のゼンコロ就労移行支援事業担当者研修会に1名を、ゼンコロセミナーに5名を参加させました。
③ 設備
ウインドウズXPのサポート終了に対応するため、情報処理係の利用者用のPC10セットを更新しました。
④ 補助事業
東京都共同募金会の補助を受け、パソコンプログラム用のPC4セットを新規導入しました。
⑤ 地域交流
東村山市障害福祉計画推進部会に委員を送り、地域の障害者施策作りに積極的に参画しています。また、東村山市障害者地域自立生活支援センター運営連絡会、あんしんネットワーク会議、市内の精神障害者関連団体が集うケア検討会などに委員を送り、ネットワークづくり、情報収集に努めました。市内小、中学校の体験学習受入れ、近隣老人施設でのボランティア、地元自治会との交流、近隣地域の清掃、青葉祭などを通じ、地域住民との交流を深めました。
⑥ 定例会議の開催
部課長会(月1回)、幹部会(月1回)、全体会議(月1回)、営業課会、各係会、安全衛生委員会などを実施しました。方針の周知徹底、利用者の問題解決を綿密に行いました。毎月初めに全体朝礼を行いました。
⑦ 防災・安全・衛生
防災訓練2回(火災)、安全衛生委員会5回、従業員を対象に普通救命講習、また、秋津消防署職員立会いのもと自衛消防訓練効果確認を実施しました。嘱託医による相談、コロニー東村山の看護師による健診を毎月実施しました。
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現在、下半期の個別面談が進んでいます。面談でご家族とお会いするたびに、もう半年が過ぎた、と思い知らされます。年を経るごとに時間が過ぎるのが早くなってきているようです。インフルエンザのシーズンに入ったので、健康管理に気を付けて、冬を乗り切っていきましょう。