1.総括
本年度も引き続き、組織体制の強化に取り組んだ。三係係長が支援課課長に昇格し、就労移行支援事業と放課後等デイサービス事業「アリーバ」の管理体制を強化した。また作業評価表の見直しに取り組み、上半期に新しい作業評価表による評価を行い下半期に利用者全員に工賃通知を行った。年度当初就労移行支援事業においては定員6名現員3名であったが、就労継続支援B型利用者向けに就労移行プログラムを提供し個別面談等でニーズの聞き取りを行った結果、3名がサービス変更を行い6名の就労移行支援の利用者数となった。就労継続支援B型事業は在宅利用者1名増員を含め定員89名現員92名の利用数となり合計97.5名の平均利用人数となった。放課後等デイサービス事業「アリーバ」は、定員10名のところ現員9.8名で利用率98%となった。放課後等デイサービス事業は本年度より保護者・従業員共に自己評価をアンケート形式で行った。利用34名の中26名の保護者から回答があり就労前訓練プログラムが高く評価され「事業所の支援に満足しているか」の質問では全員から「満足」の回答をいただいた。トーコロ青葉ワークセンターにおいても第三者評価を実施し、総合的な満足が81%という評価となった。
支援の指針となる個別支援計画作成の面談について下半期に聞き取りを行い、多くの家族、世話人より年2回の面談参加に賛同いただいた。面談での聞き取り内容を基に自立生活を視野に入れた支援計画を策定し、行政や各自治体の生活支援機関と連携して支援に取り組んだ。天神山グループホームのバックアップ施設として、連携して生活場面の支援を行った。その他事業内容やプログラム、イベント等の利用者の様子や施設運営の状況については隔月発行の「青葉通信」とホームページを通じて広報を行った。
本年度は下半期に顧客担当者からの指示に従った結果、不正な取引きに図らずも加担してしまう不測の事態が発生してしまい関係各方面に多大なご迷惑とご心配をかけることとなった。再発防止のため受注から入金までの取引ルールの検証と適正化を「営業活動・行動基準書」の作成とともに取り組み、本年度に発足させた「標準化プロジェクト」において、作業標準作成、入出荷管理、工程管理の仕組みの改善等、作業全般の見直しと課題解決に取り組んだ。今後はコンプライアンス遵守をより徹底し、すべての顧客に対し「営業活動・行動基準書」に基づいた適正な取引を行っていく。
2.事業状況の概要
(1)事業実績
① 概況
本年度のサービス種別の支出、予算対比は表1のとおりであった。当期活動増減差額(損益)は8,049千円であった。前年度は8,645千円であったので、596千円下回った。多機能型全体としての給付費等の収入は前年同期に比べ10,921千円増加した。部門別では、就労移行支援事業の利用者が定員に達しており、収入が予算を上回った。就労継続支援B型事業は、利用者数が昨年実績と同数であり、ほぼ予算通りであった。放課後等デイサービス事業は利用率98%を達成しており収入が予算を1,265千円上回った。② 売上高・加工高 就労支援事業(業務)の状況は表1別表の通りであった。売上高は92,600千円で、前年度比で7,480千円の減、前年度比に対する伸び率は99.2%、工賃の原資となる加工高は42,150千円で、前年度比では6,029千円の増、伸び率は116.7%、加工高比率は45.5%であった。
(2) 人員の推移
① 概況
期中における在籍者の推移は表2のとおりであった。従業員は、常勤1名が法人内異動、非常勤4名減であった。障害のある在籍者はすべて利用者であり、当期15名が増員となった。内訳は就労移行支援2名、就労継続支援B型6名、指定放課後等デイサービス事業「アリーバ」7名であった。また11名が減員となったが、内訳は就労のため退所が1名、自己都合による退所が7名、児童期終了に伴う退所が3名となった。こうした動きの結果、利用者の期中増減は、4名の増員であった。
② アセスメント実習
就労継続支援B型事業を利用する要件を満たすために、就労移行支援事業において実施する訓練等給付対象となる実習をアセスメント実習と位置付け実施した。期中におけるアセスメント実習は1名であった。
(3)処遇状況
① 給与・工賃
工賃向上に向けた新しい作業評価表を策定し、工賃の見直しが必要な利用者について、作業評価に基づき改定を実施した。従業員の給与は年齢給、勤続給の改定を行った。賞与は利用者、従業員ともに年間3ヶ月を支給した。福祉・介護職員処遇改善加算は、従業員に冬季賞与に含んで支給した。 年間事業決算により計上した利益を原資として利用者、従業員に0.3 ヶ月を年度末一時金として支給した。
② 福利厚生
3月31日に悪天候のため花見に変わるレクリエーションを行い、8月4日に暑気払いを互助会の企画で実施した。9月29日に利用者も含む実行委員会を組織し青葉祭を開催した。11月10日旅行実行委員会の企画で江ノ島への日帰り旅行を行った。12月8日に忘年会を行った。プログラムは年間を通し11科目を171回開催し、参加した利用者は延べ1,542人に上った。一回あたりの参加者は平均9人であり、スポーツ、読書、パソコン、歌う会、ヨガ、ボランティア等の参加者が多かった。
③ 苦情申し立て状況
当期中に苦情の申し立てはなかった。
3.サービス事業別、部門別状況
(1)支援課(総務部門)
事務センターや所内の各部署等と連携をとりながら、給付費等の請求業務やプログラムの企画と調整、青葉通信の発行、勤怠管理、実習や見学者の受け入れ、入退所の手続き等の多岐にわたる業務を円滑に遂行するとともに、新規利用者の受け入れを積極的に行った。 プログラムを担当していた従業員の退職に伴いプログラム内容の見直しが必要となったが、期中に採用した常勤1名に引き継いで実施体制を維持するとともに、新プログラムを検討し実施した。また、放課後等デイサービス事業「アリーバ」の従業員と連携し、利用者送迎や利用者見守りなど必要に応じてサポート体制をとった。
① 総務厚生担当
(ア) 施設運営管理、安全管理、環境整備、受付業務、セキュリティ管理等の業務を行った。
(イ) 給付費等の請求業務や給与計算等の業務を事務センターと連携をとり円滑に行った。
(ウ) 新規利用者、見学者の受け入れ窓口となり、必要な手続きおよび調整を行うとともに積極的な受け入れを行い、利用者確保に繋げた。
(エ) 特別支援学校や地域支援センター等からの紹介を受けた実習生の窓口として、実習を行う部署との調整を行った。
(オ) 就労移行を目的とした利用者に対し、事務補助業務の就労経験の場所として総務受付を提供し、実践経験を積むことに協力した。
(カ) 顧問医による医療相談、看護師による健康相談の希望者受付を担当した。看護師と連携して健康診断を1回実施した。
② 放課後等デイサービス事業「アリーバ」(定員10名)
(ア) 今年度の新規契約者数は7名であり、契約者数は年間で34名となった。毎月の利用者延べ人数は、平均146名程であった。
(イ) 今年度は青葉ワークセンターの営業日に並び、8月の夏季休業日のほか行事日についてもアリーバの運営は休業とし保護者には事前に文書にて周知した。
(ウ) 年度末には高校3年生4名が利用終了となった。進路先については特例子会社、東京障害者職業能力開発校、就労継続B型事業所、生活介護施設であった。
(エ) 昨年度と同様に学校行事に参加を行い、保護者との交流及び関係機関との連携を継続した。また、必要に応じ保護者同意の下、学校担任との情報共有やカンファレンスを実施した。
(オ) 夏休み期間にプログラムとして制作した紙工作品については、青葉祭で出品した。
(カ) 保護者・従業員共に実施した放課後等デイサービス自己評価アンケートの集計結果については、青葉通信への掲載及びホームページでの公表を行った。また保護者向けに集計結果表の配布を行った。評価については高評価ではあったものの、避難訓練については未実施であり、今後の課題となった。
(キ) 就労前訓練プログラムについては、通常時に提供するプログラムのほか、主に高校生を対象にチームでの作業など更に就労に特化したプログラムを提供し、就労への理解と意識付けを行った。
(ク) 東村山市障害者就労支援室との連携を図り夏休み中に企業見学を実施した。
(ケ) 個別支援計画書作成の際には本人や保護者の意向に沿った計画書を作成するよう、年二回の保護者面談を実施し支援を行った。またその際、学校や家庭での様子も反映させ無理のない計画書を作成した。
(コ) 東京障害者職業訓練開発校の見学を行い就労前訓練への情報収集を行った。また強度行動障害研修への参加を行い、研修終了後には係ミーティングの際、研修内容を演習形式で従業員へ周知し、スキルの向上を図った。
③ 就労移行支援事業(就労移行支援係)(定員6名) 従業員体制は当期に常勤1名が入職し、管理者を含め4名体制とした。定員割れが続いていたが、B型利用者から3名がサービス変更。1名が就職し、1名が次年度採用に向けて内定を得ることができた。企業見学や企業実習への取り組みを積極的に支援し、就労移行へ繋げる取り組みを行うとともに、就職者に対しては各自治体の就労支援機関、相談支援機関等との連携をはかりながら、定着支援を行った。 次年度も引き続き就労移行プログラムを継続し、就労移行の利用者を増やす取り組みを行う。
(2)営業課(営業担当、情報処理係)
本年度計画に対しては売上高・加工高ともに下回ったが、前年度実績に対しては、売上高は下回ったが加工高では上回った。損益においては前年度実績・本年度計画とも下回った。営業体制及び内部組織強化のために、新年度に向けて新しい体制を構築することとなった。
① 営業担当
(ア) 本年度発覚した当事業所と顧客との間で発生した不測の事態においては、関係者に多大なご迷惑をお掛けすることになった。それを契機に顧客との契約書類や受発注について「営業活動・行動基準書」に沿って書類や記録を残すことを原則に見直しをおこない、コンプライアンス遵守を徹底した。
(イ) 主力のメールサービス関連受注において、数取り梱包発送や照合作業の案件が多くなったことにより、従業員が対応する作業が増えてきている。また、状況によっては受注を断念するケースもあった。そのため、簡易作業を利用者の空き対策として受注することも多くなってきている。しかし、多くの簡易作業は単価が安かったり、納品準備や検品で職員の作業があったりするため、単純な空き対策とはなっていない。今後も、売上高を上げるための受注と空き対策としての受注のバランスを取りながらの営業活動が求められている。また、定期物を如何にして受注するかが安定的な売上に繋がるため、今後の大きな営業課題となる。費用面では、ヤマト運輸・佐川急便の運送料金の値上げや郵便局の集荷中止への対応が大きな課題として残った。
② 情報処理係(就労継続支援B型事業 A班) 画像検査装置の活用を基軸として、また他係との協力により、出力作業全般において利用者の携わる機会を増やした。定期受注案件の宛名印字のための編集作業においてマニュアル化を図り、新たな体制にスムーズに移行できるようにした。 入力作業においては、社会就労事業本部の3事業所で入力等の作業を分担する環境を整備したが、受注量が少なく環境が活かされていない。 在宅利用者の社会性維持向上と帰属意識の醸成によるサービス利用の満足度を高めるため、青葉祭や旅行などの行事に参加した。 加齢等による状態の変化は年々増えてきており、適切な「対応力の向上」が求められる。
(3)事業課
① 就労継続支援B型事業(定員89名)
各係共通の課題と取組状況は以下の通りであった。
(ア) 仕様書の確認や入荷数量のチェック等の基本作業を徹底するとともに、顧客満足度を高めるために標準化プロジェクトを立ち上げ品質管理を最優先課題として取り組んだ。具体的には、
①定期受注作業の「作業標準書」 ②部材等入荷時の対応 ③在庫管理手続き ④品質管理のための「作業指示確認表」が策定され運用した。
(イ) 利用者も含めた全作業者を対象にプライバシーポリシーについての研修およびテストを行い、プライバシーマークへの意識を事業所全体で共有し、個人情報等の漏洩防止に努めた。
(ウ) 通所に支援が必要な利用者が多数在籍する係においては、作業時間の見立てが難しい傾向があり、他係との間で進捗状況を確認し納期管理を行った。
(エ) 長時間の作業活動に取り組むことが困難な利用者について、弾力的に休憩を取り入れる等の支援を行い、常時見守りが必要な利用者については担当係やフロアを超えた支援を行った。
(オ) 物販事業については、通常は被災地商品および飲み込んでも安全で安心な口腔ケア「オーラルピース」を事業所にて販売し、青葉祭でも他の商品とあわせて販売した。また青葉通信に販売チラシをはさんで配布し、商品宣伝と販売促進に努めた。 各係の課題と取組状況は以下の通りであった。
① 一係
(ア) 一般企業就労を希望する利用者への支援については、就労移行支援係と情報交換を行いながら本人の意欲が高められる支援に取り組んでいる。引き続き職場環境づくり、協力体制の強化に努めていく。
(イ) 従業員間の情報共有を密にし、ミスロスがないよう注意を払って作業にあたった。
(ウ)内作率向上のため、工務及び部署間の連携・協力体制を図った。
(エ) 通所が不安定な利用者については、本人の要望を受け止めながら、必要に応じて関係支援機関と連携し可能な限り通所できるよう支援を行った。
② 二係
(ア) 従業員間で情報を共有し、ミスロスを起こさないよう注意を払って作業にあたった。
(イ) チームを組んでエアコン清掃や流し台の清掃に加え、階段と玄関の清掃を実施した。(ウ) 就労を希望する方が1名就労移行に移行し、支援をサポートした。
(エ) 作業環境を整え、手洗いうがいを促すなど衛生管理に努めた。
③ 三係
(ア) 7月に常勤職員1名を採用、1月より非常勤職員1名をアリーバから異動し、4名体制で支援を行った。
(イ) 病院や地域支援センター等関係機関と連携し、安定した通所ができるように支援した。
(ウ) 生活面の安定に繋がるよう、社会資源の紹介や情報提供を行った。
(エ) 引き続きトイレなど館内清掃を清掃リーダーが中心となって行い、各々レベルアップすることができた。
(4)その他
① 組織・人事
(ア) 総務厚生担当の非常勤職員1名の退職により、7月に就労移行担当兼任とした常勤従業員1名を補充。三係に新規従業員1名を補充、アリーバより1名を内部異動し体制維持に取り組んだ。下半期に情報処理係非常勤職員1名が退職した。
(イ) 就労移行支援担当はサービス管理責任者を総務兼任とし、管理者、支援課長および常勤1名の常勤換算4名体制で取り組んだ。
(ウ) 三係係長が兼任課長として支援課長に昇格。
② 教育・研修
法人内研修を含む11コースの研修に、延べ13名を参加させた。
(ア)外部研修 就労支援基礎研修、精神保健福祉研修、じゅさんれん研修、高次脳機能障害者相談支援研修会、労働基準法に関する基礎研修会、東京都社会福祉士会研修、就労シンポジウム研修、強度行動障害支援者養成研修、じゅさんれん見学会研修
(イ)内部研修 法人が行う支援者研修会に2名、新人研修会に3名を参加させた。
③ 設備
(ア)自己資金による事業として以下の設備を導入した。・パソコン・モニター各1セットを新規導入した。127千円 ・ レーザープリンターを1台導入した。(割賦による購入)4,000千円・ 営業・送迎用車両 プロボックス1台導入した。(割賦による購入)623千円
(イ) 補助事業・ 三菱商事株式会社からの補助を受け、結束機を導入した。500千円 ・ 東京都共同募金会の補助を受け、イーバックチェアー(階段避難車)1台導入した。179千円
④ 地域交流 市内の精神障害者関連団体が集うケア検討会などに委員を送り、ネットワークづくり、情報収集に努めた。市内中学校の体験学習受け入れ、近隣高齢者施設でのボランティア、青葉祭などを通じ、地域住民との交流を深めた。
⑤ 定例会議の開催 幹部会(月1回)、全体会議(月1回)、営業課会、各係会、安全衛生委員会などを実施した。方針の周知徹底、利用者支援における問題解決を綿密に行った。毎月初めに全体朝礼を行った。
⑥ 広報活動 隔月発刊広報誌「青葉通信」とブログ(ホームページ)を活用して広報活動を行った。事業報告や事業計画、イベント報告、プログラム報告、アリーバからの報告頁「アリーバ通信」、利用者からの投稿による「みんなの広場」等の記事を掲載している。
⑦ 防災・安全・衛生
(ア) 大規模災害時にも事業継続ができるよう、事業継続計画(BCP)の改定を順次行った。
(イ) 防災訓練を6回実施。秋津消防署との合同訓練を行い、通報訓練や消火器訓練を行った。
(ウ) 職場内の点検を毎月実施し安全衛生委員会にて報告。事故のない職場環境を維持した。
(エ)春の健康診断を実施した。
(オ) 保存水、非常食等の防災備品の補充を計画的に行った。放課後等デイサービス利用者の増加にともない、備蓄品を補充した。
(カ) 顧問医による相談、コロニー東村山の看護師による健診を毎月実施した。