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雪の日に思う

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 2012.03.01

青葉通信3月号 巻頭言

事業所長 武者明彦

雪の日に思う

春めいた日が少しずつ増えてきたと思った矢先の雪です。あの未曽有の災害から、間もなく1年を迎えますが、東北地方の被災地は災害の傷跡が生々しく残っていて、復興とは程遠い状況にあります。春はまだ遠く、春を待つ思いは殊のほか強いことでしょう。唐突に訪れる災害には、人知を超えた恐怖がありますが、この国では、一見平穏そうな日常に潜む恐ろしい事態が進行しているようです。ここ数か月の間に自宅での餓死という、痛ましい事件が連続して報道されています。

* * *

『母親と4歳の息子らしき遺体が見つかった。床に倒れた母親の死因はくも膜下出血。知的障害がある坊やは一人では食事ができず、胃は空だった。(立川市)』、『自宅で40代の姉と障害のある妹が亡くなっていた。姉が急病で亡くなり、妹は知的障害があって自力で助けを求めることができなかった。(札幌市)』、『60代の夫婦と30代の息子が自宅で亡くなっていた。市に住民票がなく、生活保護の相談に訪れた記録もなかった。家賃は滞納し、電気・ガスも止められていた。所持金は1円玉が数枚だった。(さいたま市)』、『・・・』。

近年、都会で独り暮らしのお年寄りの孤独死が社会問題となっていて、自治体や商店街などでも様々な取り組みが始まっているようですが、何人かが同居する家庭においてこうした事態が起こっていることについては、案外見過ごされていたのかもしれません。今の日本では年齢や性別、学歴などとは関係なく、誰もが貧困に追い込まれる危険性があります。とりわけ高齢者や児童そして障害者といった、自力で生活を組み立て維持することが困難な家族を抱える家庭においては、その危険性はさらに高まっていて、こうした家庭が社会から孤立状態になったとき、最悪の事態が起こる危険性は予想できることです。生活保護の窓口に相談に行ったり、公共料金や家賃の滞納が続いていたりすることは、相当な水準の危険信号とみなすことができるわけで、これに世帯構成を重ね合わせてみれば最悪の事態に至る前に、救済手段を講ずることができるのではないか。自治体としてもそのために家庭の状況を把握し情報を共有する仕組みが必要であることは、すでに認識されているものと思いますが、一方で個人情報保護の壁(ばかりではない!)があってなかなか踏み込めていないのが実態でしょう。しかし、そこを超えて踏み込む状況にあるように思います。

当センターを振り返ってみても、同居するご家族が高齢になっている利用者が増えており、またご家族と二人暮らしの利用者も増えてきています。家計の面でもご本人とご家族の年金が頼りというご家庭も増えているものと思われます。余計なお世話と言われかねない中身でもありますが、年二回のご家族も含めた面談などを通じて、敢えてご家庭の様子にも触れさせていただき、正確な情報に基づいて、利用者が安心して地域で暮らし続けることが出来るために必要な支援を一緒に考えてゆきたいと思います。

就労支援施設は日中活動支援を行う場所ですが、利用者が家庭生活を維持できない状況になれば、自ずと通所利用も難しくなるわけで、施設利用もできずに地域の中で孤立してゆくことは、どうしても避けなければなりません。今施設には、ご家族や行政、地域、さまざまな支援機関などとの連携を強め、利用者の地域生活支援も含めたトータルな支援を構築するための情報ネットワーク拠点になることが求められています。

* * *

慣れない雪道の行き帰り、雪で道も狭くなっています。往来には十分気をつけましょう。こんな日は車椅子の方は本当に大変です。歩道へあがったり降りたりするときなど、一声かけて手を貸してください。

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