2014.05.15
青葉通信5月号 巻頭言
事業所長 武者明彦
飛び石のゴールデンウイークが終わり、5月も中旬に差し掛かりました。ナノハナやアメリカハナミズキなど春の花々が終わり、サツキ、フジ、キリ、アジサイなど初夏の淡い色合いの花にとってかわりつつあります。一年で一番良い季節になりました。さて、2013年度決算の作業もほぼ目処が立ってきましたので、昨年度(2013年4月1日から2014年3月31日)を振り返り、新しい年度(2014年度)の課題を確認したいと思います。
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2013年度(以下、当年度)は、法人全体で策定した中期事業計画を基本にしながら事業に取組みました。就労継続支援B型事業は、年間を通じて在籍者が80名定員を超える状況が続き、今後も実習依頼や利用希望者が増える見通しです。就労移行支援事業は、就労実績が着実に上がる一方、年間を通じて15名の定員充足が難しくなっています。地域のニーズや近隣の特別支援学校卒業生の動向を踏まえ、2014年度4月からそれぞれの事業の利用定員を変更することとしました。就労継続支援B型事業は支援体制を強化したうえで定員を87名に増やし、就労移行支援事業は8名に減らします。多機能型事業所としての全体の定員は95名のままとします。以下にそれぞれの事業を振り返ります。
1. 就労継続支援B型事業(定員80名)
主力のメールサービス関連の受注は、見積合わせや入札が常態化して営業が苦戦を強いられている中ですが、障害者優先調達推進法を念頭に置いたと思われる引き合いが増えており、受注につながるケースも出てきました。物品販売事業は東北の被災地施設の商品を中心に販売を行ってきましたが、なかなか販売実績が伸びない状況にあります。当年度は新たに天然素材を原料とした口腔ケア商品の「オーラルピース」の販売に取組みました。利用者にとっては貴重な接客の機会となっているので、今後も取扱う品目を増やすなどの工夫を行いながら継続する予定です。
施設外での作業については、近隣での清掃作業受託を新たに契約することができました。東京都葛飾福祉工場八潮配送センターの清掃業務、高齢者施設でのベッドメイク作業、ヤマトメール便のポスティング作業に加え、2014年度より実施することとしました。
2. 就労移行支援事業(定員15名)
当年度は5名が就職を果たしました。専門の就労支援チームがかかわることで就労実績が増えてきています。一方、就職した後体調不良などで再利用を始める利用者や、企業などが行う就労移行支援に利用変更を行ったが、サービス受給期間が終了し当事業所のB型に戻る利用者などが出てきており、個別支援もさらに多様な観点で行う必要が生じています。採用する企業へ有益な提案を行うことは、就労支援に欠かせない要素となっています。支援従業員が提案力を身につけることができるよう研修などに積極的に参加させ、スキルアップに取組んでいます。また各自治体の就労支援、相談機関との連携を密にし、協力して就労支援、定着支援を行うよう働きかけています。
3. 障害者計画相談支援事業への協力
当年度からスタートした障害者計画相談支援事業には、事業係の職員1名が兼務で関わることになりました。東村山市内の計画相談事業所が少ないこともあり、大きな負荷がかかりつつありますが、事業が本格化した7月以降より従業員の役割を見直して負荷を軽減し、利用者がより良いサービスを受けることができるよう、さまざまな機関と連携して計画づくりをしているところです。
《事業状況の概要》
1. 事業実績の概況
① 就労支援事業:工賃の基となる作業活動による収支は、長年の懸案である赤字を少しでも圧縮させるため中期的な目標を持ち圧縮に取組んでいるところですが、当期は-153万円まで圧縮することができました。売上高は10,419万円で新規の受注を確保するなどの営業努力の結果、前年度実績、本年度目標ともに上回ることができました。一方加工高は4,274万円で、一件ごとの差益管理をしっかり行うと共に、宛名出力部門の強化により前工程を短縮し、手作業部門に時間配分ができるよう工夫をすることなどを通じて確保に努めましたが、受注単価の下落を埋め合わせるには至らず、前年度実績、目標ともに下回る結果となりました。前年度に対する伸率は売上高が100.6%、加工高が97.3%で、加工高比率は41.0%でした。
② 福祉事業:施設としての収支については、従業員のスキルを高めるとともにサービスの質の向上に取組み、新たな利用希望者の受入れを進めた結果、給付費の落ち込みに歯止めをかけることができました。
2.利用者の推移と利用者支援状況
① 利用者の推移:当年度は利用者17名が新規に利用開始しました。また7名が退所となりましたが、就職のための退所が5名、自己都合による退所が2名でした。内1名はコロニー中野の就労移行支援事業を経過して就労継続支援A型事業で雇用されました。年度末現在の利用者の在籍数は100名でした。
② 工賃の支払状況:工賃年間支払総額は2,660万円で、平均月額工賃は23,580円でした。見直しが必要な利用者について、作業評価に基づき改訂を実施しました。また賞与は、夏1.5ヶ月、冬1.4ヶ月、年度末に0.4ヶ月の合計3.3ヶ月相当分を支給しました。
③ 年間行事の実施状況:4月5日に予定していた花見は、開花が早まったため1週間繰り上げて3月29日に実施しました。8月2日に暑気払いを、9月28日に青葉祭を予定通り実施しました。11月1日に予定していた日帰り旅行は、11月8日に日程も内容も変更して実施しました。12月6日に忘年会を実施しました。
④ プログラムの実施状況:10科目のプログラムを延べ232回開催し、参加した利用者は2,068人に上りました。一回あたりの参加者が多かったのはスポーツ、読書、調理、歌う会、ヨガ等でした。
⑤ 苦情申し立て状況:当期中に苦情の申し立てはありませんでした。
3.その他の事項
① 組織、人事:前年度末に組織、作業場、従業員の配置を全面的に見直し、合わせて必要な改修を行いました。2014年度4月から2013年度の事業の実施状況を踏まえ、再度組織管理体制の見直しを実施しました。
② 教育、研修、対外支援:13コースの研修プログラムに従業員延べ14人を参加させました。外部研修として精神障害関連、発達障害や知的障害(子と家族への支援等含む)相談支援や接遇応対力ステップアップ、動機づけ面接実務、労働基準法に関する基礎等に関する研修等に参加させました。また、事業所内研修として、従業員と利用者全員を対象にプライバシーを遵守するためのルール(Pマーク)について研修を実施しました。また法人が行う新人研修会に参加させました。
③ 被災地支援:陸前高田市とフィリピンへの被災地支援として、ゼンコロが実施したワンコイン募金に事業所全体で協力しました。
④ 施設、設備整備:東京都共同募金会からの助成を受け利用者の災害対策用トイレ(マンホール、車いす 対応)を購入しました。また、自己資金による事業として四輪駆動フォークリフト1台、1.5トントラック1台、ウインドウズXPサポート終了に対応するため従業員用のPC14台、非常時に備えるため階段避難車イーバックチェア1台を購入しました。
⑤ 地域交流:東村山市障害福祉計画推進部会、東村山市単独事業再構築委員会に委員を送り、地域の障害者施策作りに積極的に参加しました。また、東村山市障害者地域自立生活支援センター運営連絡会、あんしんネットワーク会議、市内の精神障害者関連団体が集うケア検討会などに委員を送り、地域ネットワークづくりと情報収集に努めました。小、中学校の体験学習受入れ、近隣老人施設でのボランティア、地元自治会との交流を深めました。青葉祭を実施し、地域住民との交流を深めました。東村山市障害者就労支援室、東村山社会福祉協議会等との連携により新規利用者の受入を進めました。市内外の小、中学校3校からの職場体験実習生を受入れました。ボランティアプログラムで交流のある東京都東村山ナーシングホームより夏祭りへの招待があり、利用者と従業員が参加しました。
⑥ 定例会議:部課長会、幹部会、従業員全体会議、課会、係会、安全衛生委員会、防災対策委員会を実施し、事業方針支援方針の周知徹底、課題解決を行いました。
⑦ 広報活動:月刊広報誌「青葉通信」とブログ(ホームページ)を活用して広報活動を行いました。巻頭言では折々のニュースを伝え、プログラム活動の案内、利用者の投稿によるみんなの広場の定番記事に加え、青葉通信1月号から新たに、高橋司法書士による成年後見制をテーマにした連載を始めました。
⑧ 防災、安全、衛生:安全衛生委員会は毎月、防災対策委員会は3ヶ月に1回開催し、各職場の自主点検を行い事故の起きない作業環境の整備を行いました。防災訓練を年間6回、うち2回は秋津消防署立会いの下に総合防災訓練を実施しました。看護師の指導に基づき、新型インフルエンザやノロウィルスに対する予防措置、年2回の照度検査を実施しました。
⑨ 事業継続計画(BCP):大規模震災などで被害を受けても中心業務を継続することができるよう、予め事業継続計画を策定しました。これを策定する過程を通じて従業員に万一の事態に備える意識が定着しつつあります。合わせて保存水、非常食等防災備品の補充を計画的に行い、緊急時の食事提供メニューをあらかじめ作っておくなど、一歩踏み込んだ準備を行いました。非常時に備え賞味期限が切れる非常食、飲料水、防災備品等の入替え、補充を行いました。階段避難車イーバックチェア、マンホール車いす対応型トイレを導入しました。合わせていつでも使えるよう講習や訓練を行いました。
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2014年度も個別支援計画の見直し面談が始まります。当センターで活動支援の場面のみならず、ご家庭での生活場面においても今後の展望を持ちながら、一人ひとりが、夢の実現に近づくことができるよう、確認しあう大切な機会ですので、ご参加をよろしくお願いします。