2015.2.15
青葉通信2月号巻頭言
事業所長 武者明彦
先週の日曜日、所沢市航空公園でロウバイ(蝋梅)の写真を撮ってきました。この花はその名の通り、花びら全体が蝋細工のように透き通っていて、上品なとてもよい香りがします。少し遅かったのか、春一番の花だけにもう盛りは過ぎたようでした。また公園内にある日本庭園では紅梅、白梅、まだ堅そうでしたがミツマタの可愛い蕾も見ることができました。昨年はこの時期に大雪が降りましたが、今年はこのまま暖かくなるのでしょうか。
さて本稿では、当センターの2015年度事業計画、予算の概要についてお知らせします。また次号では、各係の支援計画についてその概要をお報せする予定にしていますので、合わせてお読みいただきたいと思います。(3月末までは2014年度内ですので、年度内にこれから起こることも過去形になっています。)
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■総括
前年度(2014年4月1日から2015年3月31日)は、利用者本位のサービスをより向上させるとともに、従業員にとって働き甲斐のある職場を実現する指標とするため、東京都民間社会福祉施設サービス推進費補助を申請し、第三者評価を実施しました。本年度はその結果をふまえ、より良いサービス提供ができるよう改善に取り組みます。家族と同居する利用者が多い中、利用者とその家族の高齢化が著しく進んでおり、家族による支援が困難になると思われる家庭や、家族への支援が必要になっている家庭が増えています。こうした実態を踏まえ引き続き、緊急度合いの高い利用者から自立生活を視野に入れた支援計画を策定し、行政や各自治体の生活支援機関と連携して支えることとします。
事業内容や利用者の状況については、毎月「青葉通信」とホームページを通じて広報します。
① 就労継続支援B型事業(定員87名)
在籍者が87名定員を超える状況が続いており、実習依頼や利用希望者も増えています。本年度は、通所が困難な在宅の利用希望者にも対応できる体制を敷き、受け入れを進めることとします。在宅での作業は入力業務を想定するため、PCやネットワークの環境も利用者個別の状況を反映させながら構築します。
就労支援事業の売上高は、メールサービス事業を中心に前年度実績を何とか維持している状況が続いていますが、宅配便などによる発送作業が増加しているため荷造配送費が膨らみ、加工高が残りにくい状況となっています。差益管理をしっかり行うと共に、物品販売や施設外での受託作業などにも仕事の幅を広げていきます。また中央官庁や自治体等から障害者優先調達推進法を念頭にした仕事の引き合が少しずつ増えてきました。大きなチャンスととらえ積極的に受注します。
② 就労移行支援事業(定員8名)
専門の就労支援チームがかかわることで就労実績が着実に上がっている一方、新規の利用希望者が少なく、在籍者が定員を下回る状況が続いています。前年度下半期から、清掃に特化した就労訓練を行っている事業所としての、支援者向け業務案内パンフや利用希望を促すチラシを作成し、ハローワークや特別支援学校、就労支援事業所などに積極的に働きかけを行っているところです。動きを活発化し早期の定員充足を目指します。
また障害者の雇用に意欲を持つ企業に有益な提案を行うことは、就労支援に欠かせない要素となっています。支援従業員が提案力を身につけることができるようスキルアップに取り組むとともに、各自治体の就労支援機関、相談支援機関等との連携を密にし、協力して就労、定着支援を行うよう働きかけます。
③ その他の事業
本年度当初、新たに開設された天神山グループホーム(西東京市)のバックアップ施設として、連携して生活場面の支援を行います。
本年度下半期に、東京しごと財団の委託訓練事業として、知識・技能習得訓練コース「メール作業の基本技術の習得」を訓練内容としてエントリーする予定です。
本年度下半期を目途に、障害のある児童が放課後や長期休暇中に利用できる「児童デイサービス事業」を立ち上げる方向で準備を進めます。
■基本計画
① 収支目標と予算
(ア) 就労支援事業収入(売上高)目標は前年度予算対比で101.0%の1億300万円、工賃の原資となる加工高については、荷造配送費の増加を想定し前年度予算対比で95.1%の3千800万円(加工高比率36.9%)とします。積極的に営業展開を行うとともに、工程管理や差益管理をしっかり行い200万円ほどの黒字を見込みます。
(イ) 障害福祉サービス等事業による収入は、前年度予算対比で98.2%の1億6千700万円ほどを見込みます。積極的に外部への働きかけを行う事で、就労移行支援事業の定員充足を進めます。
(ウ) 下半期を目途に新規事業として「児童デイサービス事業」を立ち上げる予定ですが、上半期は調査や準備に重点を置いた活動を行います。事業の見通しができた時点で、補正予算の編成が必要になると想定しています。
② 利用者と家族への支援
利用者とその家族の高齢化が進行しています。個別支援計画作成に際しての個別面談には、生活場面の状況を把握するため、家族やグループホーム世話人、相談支援事業所、医療機関などの参加も促しながら、サービス等利用計画に反映できるような個別支援計画策定を目指します。また、利用者が安心して地域生活を送ることができる状況を構築できるよう、他機関との連携が必要と思われる場合には、本人の同意を得たうえで的確な情報を提供できるようにします。
■組織及び施設・設備等整備計画
① 組織・人事
法人の人事異動に対応するとともに、幹部従業員の育成を急ぎます。また係を超えた支援や生活の場での支援が必要な場合については管理職が担当従業員のバックアップを行います。また、前述の新規事業の立ち上げにあたり、準備のための組織変更を予定します。
② 教育・研修
40歳を境として利用者の加齢に伴う障害の変化が顕著になっています。さらにその家族の高齢化も深刻であり、家族への支援が必要なケースも増えています。こうした状況を踏まえ、個々の状況に沿った支援が可能になるよう、従業員一人ひとりの支援力を向上させる目的で、従業員に外部研修などの参加を促します。
(ア) 研修を通じて発達障害、高次脳機能障害、自閉症、ダウン症、統合失調症、難病等多岐にわたる障害についての理解を深め、従業員の支援レベルを向上させます。
(イ) 下半期に予定する「児童デイサービス事業」の立ち上げに向け、ノウハウの習得に努めます。
(ウ) 表彰規程に則り、福祉専門職としての国家資格取得を推奨します。
③ 福利厚生
嘱託医、看護師と連携を密にし、利用者の心身の健康管理に役立てます。併せて家族との相談も積極的に推進します。
年間行事として花見、暑気払い、青葉祭、日帰り旅行、忘年会、研修会を実施します。互助会に事業の企画、運営を委託し、利用者が主体的に企画や運営に関わることができるよう支援を行います。
④ 防災・安全・衛生
(ア) 大規模災害時にも事業継続ができるよう、事業継続計画(BCP)の内容を充実させます。
(イ) 防災委員会・安全衛生委員会を月1回開催し、職場の安全を確保します。
(ウ) 防災訓練を年6回実施し、うち2回は総合防災訓練とします。
(エ) 職場内の安全衛生点検を毎月実施し、事故のない職場作りを目指します。
(オ) 健康診断を年2回実施し、健康管理に努めます。
(カ) 危機管理マニュアルを活用し、非常時における利用者対応に努めます。
(キ) 保存水、非常食等の防災備品の補充を計画的に行います。その際には帰宅困難者の受け入れを想定したものとします。緊急時の食事提供メニューをあらかじめ策定します。
(ク) 階段避難車イーバックチェア、マンホール対応型トイレ、AED、非常発電装置等の訓練、講習を行います。
⑤ 施設・設備等整備計画
必要な設備や備品等の購入、更新は当初予算に計上し、事業実績を見ながら執行します。具体的には、パソコンプログラム用のパソコン(東京都共同募金会申請中)、営業用車両1台、宛名印刷機2台、ファイルサーバー1台などを予定します。
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この計画の中でも触れましたが、今年4月に西東京市(天神山)に、当法人が運営する新しいグループホーム(「こあらハイツ」という名前になるそうです)ができる事になりました。当センターからも3名の方が、新しいグループホームでの生活に向けて、希望を胸に準備を始めています。