2015.3.15
青葉通信3月号巻頭言
事業所長 武者明彦
啓蟄(けいちつ)も過ぎ、だいぶ春らしい陽気となりました。3月9日に開催された、社会福祉法人東京コロニーの評議員会、理事会において、2015年度の事業計画及び予算が承認され、当センターにおいても、この計画を実施するための体制を確定し、新しい年度を迎える準備を進めているところです。本稿では2015年度の、部門ごとの支援計画の概要と、すでにお知らせしていることも含みますが、それを実施するための体制についてお知らせいたします。2月号とあわせてお読みいただければ幸いです。
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1.部門別支援計画の概要
個別支援計画はこれまで同様に、サービス管理責任者と各班の担当者が中心となって策定しますが、係長を中心に全従業員が連携して日中支援にあたります。生活場面の支援が必要な利用者が増えていることから、他機関との調整や係や課を超えた支援ができるようにするため、支援課(総務)に課長を置き、部門を超えて担当従業員のサポートを行う管理職(スーパーバイザー)として役割を果たすこととします。各部門に共通する支援内容は以下の通りです。
① 家族や支援機関と支援目標を共有し、利用者一人ひとりのQOLの充実を図ります。
② 利用者と家族の要望を把握し、必要に応じてプログラム活動の内容を更新します。
③ 通所が不安定な利用者や、作業活動に参加することが困難になっている利用者については、家族や医療機関などと連携して支援します。
④ 月に一度の精神科嘱託医のカウンセリングは、利用者はもちろん、従業員や利用者家族からも有効活用されており、継続していきます。
⑤ 記録の回覧やメーリングリストを活用し、フロア間、従業員間のコミュニケーションを図り、連携して支援できる体制とします。
2.支援課(総務部門)
事務センターや所内の各部署等と連携をとりながら、訓練等給付費の請求業務や、プログラムの企画と調整、勤怠管理、実習や見学者の受入れ、入退所の手続き等の多岐にわたる業務を円滑に遂行するとともに、新規利用者の積極的な受け入れを行います。また、下半期に障害のある児童が放課後や長期休暇中に利用できる「放課後等デイサービス事業」を立ち上げるための準備を行います。
① 総務厚生担当
(ア) 施設運営管理、安全管理、環境整備、受付業務、セキュリティ管理などの業務を行います。
(イ) 給付費等の請求業務や給与計算等の業務を事務センターと連携をとりながら円滑に行います。
(ウ) 新規利用者、見学者の受入れ窓口となり、必要な手続き及び調整などを行うとともに積極的な受入れを行い、利用者の確保に繋げます。
(エ) 特別支援学校、大学からの実習生受入れ窓口として、実習受入れ部署との調整を行います。
(オ) プログラム活動の推進を円滑に行います。プログラム参加希望者の調整、ボランティアの受入れ、整理、見直し、外部との調整を行います。
(カ) 就労移行支援係の業務が円滑に進むよう協力を行います。
(キ) 嘱託医による医療相談、看護師による健康相談の希望者受付を担当します。看護師と連携して健康診断を年2回実施します。
② 新規事業準備担当
下半期を目処に「放課後等デイサービス事業」を立ち上げるための準備を行います。また事業実施にあたって中心的役割を担います。
3.営業課
厳しい受注環境ですが、売上高目標を前年実績並みとします。利用者の工賃の原資につながる仕事の確保を確実に行うため、営業担当を1名増員配置します。また情報処理係(情報処理室)と緊密に連携しながら、顧客サービスの向上に努めます。
① 営業担当
障害者優先調達推進法を念頭においた商談や、既存顧客からの紹介等を有効に活用し、受注に繋げるようにします。また、中心作業のメール発送作業に留まらず、情報処理、清掃、簡易作業等幅広い仕事の受注を目指します。
(ア) 利用者が中心に行うことができる仕事は、単価を下げてでも確実に受注します。
(イ) 新規事業の開拓や既存顧客からの受注拡大に向けて積極的に動き、作業の空きが出ないように努力します。
(ウ) 前年度に引き続き、施設外での受託作業として東京都葛飾福祉工場ならびに八潮配送センターの清掃業務、高齢者施設でのベッドメイク作業、ヤマトDM便のポスティング作業、東村山市内の小児クリニックの清掃業務を行います。
(エ) 老朽化した営業車1台を入れ替えます。
② 情報処理係(就労継続支援B型事業、A班)
出力作業では、メーカーのサポート終了に伴いダイレクトプリンター(宛名印刷機)2台の入れ替えを行います。新機種導入により、印字速度と品質の向上が可能となると期待しています。
入力作業では、法人内他事業所(コロニー中野、コロニー東村山)の協力により、大規模小売店舗チェーンの顧客データの入力作業の受注量を増やす方向です。当該作業については安定的な対応を行いつつ、他社案件にも多く対応できる体制を確立します。
また、在宅での就労継続支援B型事業利用者受入れを行うため、作業環境の整備と訪問での支援を行う体制整備を進めます。
(ア) 利用者専用の作業マニュアルの作成など入力作業のための環境を整備します。
(イ) 標準作業時間を設定し正確な作業時間の見込みを行い、効果的なスケジュール管理を目指します。
(ウ) 利用者の多様な障害や変化する状況に的確に対応できるよう、従業員の研修参加の機会を増やし、情報の収集、蓄積、共有化を進めます。また、内外の関係者との連携により、生活場面での課題も含めた支援を心がけ安定的、継続的に通所ができるようにします。
4.事業課
これまで就労継続支援B型事業の三つの係で構成してきましたが、本年度は就労移行支援事業(就労移行支援係)を含めた課の体制とします。
作業活動においては、前年度の課題であった仕様書の確認や入荷数量のチェック等の基本作業を徹底するとともに、顧客満足を高めるために品質管理を最優先課題として取り組みます。利用者も含めた全作業者を対象にプライバシーポリシーについての研修を行い、Pマークを取得している意識をさらに高め、個人情報等の漏洩防止に努めます。
作業量の確保は引き続いて最大の課題です。照合の必要な作業等複雑な工程を含む作業が増えてきていることから、工程を工夫し利用者が係わることのできる作業をできる範囲で切り出していきます。障害の重度化や加齢に伴う作業能力の低下等によって、これまではできていた作業に取り組むことが難しくなっている利用者については、適性や状況を考慮したうえで新たな作業に振り替えていきます。通所の不安定な利用者が多い部署においては、納期遅れが発生しやすい傾向にあることから、係間で進捗状況を確認しながら調整を図っていきます。
ヤマト運輸のメール便配達は、地域に貢献できる業務として位置づけ、一係と二係を中心に取り組んでいますが、携わることが可能な利用者が増えていることから、先方と調整の上配達範囲を拡げることを検討します。
八潮配送センターの清掃は、利用者のリーダーが中心になってチームを組み、全員が連携して作業を行います。館内清掃についても同様に、利用者中心のシフトを継続し、技術の習得を目指します。
物販事業については、被災地商品のほかに飲み込んでも安全で安心な口腔ケア商品「オーラルピース」を加え、販路開拓のための対策を講じながら取り組んでいきます。
プログラム活動は、利用者とその家族の意見や要望を取り入れながら、内容の充実を図ります。日中活動の支援としては、落ち着いて作業に取り組むことが困難な利用者について、弾力的に休憩を取り入れる等の支援を行い、常時見守りが必要な利用者については担当係、フロアを超えた支援を行います。事業課各係の計画は以下のとおりです。
① 就労移行支援係(就労移行支援事業)
就職者の輩出に伴い、定員に満たない状況が続いています。前年度下半期より、利用者募集の活動を行っています。引き続き支援機関や特別支援学校などへの働きかけを強化していきます。
(ア) 就労移行支援を行ううえで、利用者及びその家族と十分な情報交換を行う事に留意します。
(イ) ハローワーク、各地域の就労支援センターなど外部機関との連携を密に行い、効率良い支援ができるようにします。
(ウ) 就労、実習先確保の為、地域や企業との関係の構築に取り組みます。
(エ) 就労移行支援プログラムについては、総務厚生係、製造部門等と協力を行い、中身の濃いプログラムを実施できるよう取り組み、支援の充実化を図っていきます。
(オ) 事業所間での連携を密にして、就労に関する情報交換や情報収集を行い、就職活動につなげ
ます。
(カ) 清掃プログラムの特化のもとハローワーク、各地域の就労支援センター、特別支援学校など外部機関との連携を図り、新規利用者の受け入れに努めます。
② 一係(就労継続支援B型事業、B班、C班)
(ア) チェック体制を整え、ミスロスを出さない環境作りを心掛けます。
(イ) 各係と連携し作業の内作率を高めます。
(ウ) 通所が不安定な利用者については、安定して通所できるよう支援します。
(エ) 就労を希望する利用者については、就労意欲を高め就労移行へ移行できるよう支援します。
③ 二係(就労継続支援B型事業、D班、E班)
(ア) ミス、ロスの撲滅のため、仕様書の確認を随時行い従業員間で情報の共有を密に図っていきます。
(イ) 作業室の整理整頓を徹底し、環境整備に心掛けます。
(ウ) メール便配達については複数の従業員対応が取れる体制とします。
(エ) 聴覚障害がある利用者に対応できるよう手話等を取り入れ、支援の仕方を工夫します。
(オ) 研修には自主的に参加するよう促していきます。
④ 三係(就労継続支援B型事業、F班、G班)
(ア) 利用者の体調を安定させるため、病院や支援センター等と連携をとり、毎日通所できるよう支援します。
(イ) 今後も地域の社会資源を最大限に活用し、安定した生活を送ることができるよう支援します。
(ウ) 緊急対応が必要な場合には、嘱託医や病院とも連携をとり、速やかな対応を心掛けます。
(エ) SSTでは繰り返し訓練を行い、社会性を身に付けることを目標にします。
(オ) 引き続き、清掃リーダーを中心に清掃指導に当たります。
5.組織図
2015年度の組織図は以下の通りです。
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4月1日、西東京市にオープンする天神山グループホーム「こあらハイツ」、当センターからも3名の利用者が、真新しい自分の城に移ることを心待ちに準備を進めています。新年度の人事体制は、今後もご家族との生活から地域での生活に移る方が増えて行くことを念頭においたものですが、この季節にはつき物の事業所間の人事異動も予定されています。それに伴い担当が変わる班やプログラムもありますが、利用者とご家族の皆さんにご心配をおかけしないよう、引継ぎ期間をしっかり取って進めますのでご安心いただきたいと思います。
三寒四温、もうしばらく不安定な気候が続きますが、早咲きの桜はもう咲き始めています。体調管理にも気を付け乗り切りたいものです。