司法書士 高橋 聡英
前回(2015/2/25)の続き
前回に引き続き、後見人に選任されてからのお話です。
4 財産管理の具体的方法は? ――― 預金通帳・証書類の保管、現金出納帳の作成
被後見人(以下「本人」といいます)の財産はあくまでもその本人のものですから、きちんと区別・管理するため、以下のことを行う必要があります・
・預金通帳、証書類の保管
・現金出納帳の作成および収入・支出の記録
【現金出納帳のイメージ】
年月日 | 項目 | 収入 | 支出 | 残高(円) |
27.4.1 | 財産目録2-1記載口座より引き出し | 60,000円 | 60,000円 | |
27.4.3 | 食料品購入 | 6,371円 | 53,629円 | |
・・・・ | ・・・ | |||
5 判断に迷ったときは? ――― 家庭裁判所(以下「家裁」といいます)に連絡
日常的な収入・支出以外にも突発的・イレギュラーな収入・支出が生じた(る)場合には、家裁の後見センターに連絡してその判断を仰ぐようにしてください。
【具体例】
① 保険金を受領した場合
② 遺産分割をする場合 (→特別代理人=本人の権利を守るために遺産分割協議に
参加する人=の選任が必要な場合あり)
③ 財産を処分する場合 (居住用不動産を処分する場合は別途家裁への申立が必要)
④ 高額商品を購入する場合(介護用品等で高額なものなど)
⑤ 自宅の改装費などを支出する場合
⑥ 債務を返済する場合
⑦ 立替金を精算する場合
⑧ その他(高額な慶弔費の支出など)
6 その他必ず連絡すべきことは? ――― こんなときも家裁に連絡
① 本人が転居したとき(自宅から施設などへ)
② 後見人が転居したとき
③ 本人が死亡したとき
④ 後見人が死亡したとき
⑤ 後見事務報告書(定期的な収支等の報告)の提出が遅れる場合
次回は、本人の財産を不当に利用されない制度として運用が始まった信託制度についてお伝えします。