2015.7.15
青葉通信7月号巻頭言
事業所長 武者明彦
すっきりとはいかないまでも、梅雨の合間に青空が欲しいこの頃です。どんよりした空を背景に雨粒を一面に抱えたタチアオイやユリ、オオハンゴンソウなど背の高い花が健気に立ち上がっていて、そこだけ少し日がさしているようにも見えます。
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さて当センターでは、上半期の個別支援計画見直しのための面談が進んでいます。利用者を中心にそのご家族、支援機関やグループホームの職員等を交えての、ほぼ3カ月にわたる面談も、今月で一巡することになります。本稿では、これまでの面談を通じて把握することができた利用者の生活面の変化を背景に、今後必要となるのであろう支援の方向を考えてみたいと思います。昨年の7月号でも、同様の記事を掲載していますので、比較しながらお読みいただけると、この1年の間の変化が実感できると思います。
① 2014年度末現在の利用者総数は97人、平均年齢は37.1歳、在籍年数は10.5年でした。前年度より若い人が増えて平均年齢が少し若返っています。今回の面談の対象者は98人(身体障害者18人、知的障害者58人、精神障害者21人)で、年齢分布は10代3人、20代25人、30代28人、40代32人、そして50代が10人でした。30代40代が6割以上を占めていて、最も多いのは40代です。当センターは1990年のオープンなので、それから25年が経過し、その時18歳だった利用者は43歳になりました。この年齢層が最も多いことになります。
② 家族(親、兄弟)同居の利用者は69人で全体の7割を占めていますが、同居する家族の高齢化が進んでおり、父親または母親と二人暮らしの利用者も増えています。また、家族が要介護や要支援となっていて、ヘルパーを利用しながらの生活になっている家庭もあります。こうした背景もあって、グループホームへの関心が急速に高まっています。
③ グループホームで生活している利用者は16人(17%)になりました。この1年のうちに新たに4人が利用を開始しました。またグループホーム利用を念頭に、見学や短期入所(ショートステイ)を希望する利用者(家族)が30人いました。昨年は24人だったので、この1年でだいぶ増えました。この中にはすでに短期入所等を試したことがある10人が含まれています。グループホームを親亡き後の生活の場と考えている家族は16人に上りました。一方グループホームを利用するには家賃などの費用も掛かるため、経済的理由で二の足を踏む家族も複数あります。当センターでは近い将来、半数近くの利用者が自宅を離れ、グループホームを生活の場所として、通所する姿が垣間見えてきます。
④ 自宅や公営住宅、アパートなどで一人住まいないしは家庭生活を営んでいる利用者が12人(12%)います。多くが訪問看護や居宅支援(ホームヘルパー)、移動支援、成年後見制度等の社会資源を活用しながらの地域生活となっています。またそのほとんどが生活保護を受給しており、生活保護が地域生活の最後の支えとなっています。
⑤ 障害基礎年金など年金の無い利用者が17人いますが、そのうち12人は年金が無く生活保護も受給していません。未成年者の場合は、今後申請により年金を受けられる可能性がありますが、年金を納めていないなどのために無年金になっている場合は就職するか、生活保護しか選択肢がなくなります。現在、生活保護を受給しながらグループホームで生活している利用者も出始めていますので、今後そうした人が増えて行くと思われます。現在、家族の支援があって成り立っている生活が、支援を受けられなくなった時の経済基盤をどうするのか、大きな課題です。
今年4月に西東京市に女性のためのグループホーム、こあらハイツがオープンし、当センターからも3名が入居して元気に通所しています。住み慣れた環境を離れて暮らすことは利用者本人にとってはもちろん、家族にとっても不安が大きいと思われますが、そこを乗り越えて新生活を始めたことは本当に素晴らしいことだと思います。
当センターでは面談からもうかがえるように、グループホームへの関心が急激に増してきていますが、利用するに当たって最も大きな課題は、通所可能な範囲にグループホームが少ないことで、必要になった時に希望すればすぐに利用できる状況にないと言う事です。またせっかく空きがあっても、前述のとおり、ためらいがあったり準備不足だったりしてタイムリーに利用に結びつかない場合もあります。短期入所利用などを繰り返す中で、家族から離れて暮らす事への不安を少しずつ取り除くこと、公共交通機関の利用や移動支援を使って休日の過ごし方を豊かなものにすること、家事の手伝い、清掃、買い物、着替え等自分でできる事を増やすことなどを通じて、心構えと準備を進めておくことも大切なことだと思います。
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7月31日の金曜日は、暑気払いです。互助会の皆さんが工夫を凝らした企画を考えてくれているので楽しみですね。梅雨を吹き飛ばし、本格的な夏に向かって盛り上がりましょう。