第25話 収集癖
コロニー東村山で働いている人々の、職場では見せることのない本当の姿が見える(?)、久しぶりの投稿コーナー「ここだけの話ですが…」。さて今回は、とある癖の話。はい、とてもよくわかります。その癖。
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中野の中古カメラ店で、憧れのニコンFが信じられないような安値で並んでいるのを見て、衝動的に買ってしまったのが始まりで、クラシックカメラの収集にのめりこんでいます。レチナ、ツァイスイコン、フォクトレンダー、エキザクタ、そしてライカなど、戦後日本製のカメラが世界のカメラ市場を席巻してしまう以前に主流を占めていたドイツのメーカーのレンジファインダー(距離計)カメラや、ホールディング(蛇腹)カメラが中心です。
ホールディング(蛇腹)カメラは、カメラ本体は単なる暗箱と言ってよい物で、伸び縮みする蛇腹の先に多くはシャッターと絞りがついたレンズがくっ付いているだけのものです。ピントは蛇腹を前後させて合わせます。レンジファインダー(距離計)カメラはプリズムを複雑に組み合わせた距離計を搭載してあるのが基本ですが、同じシリーズには距離計そのものが無いものがあったりします。そのいずれもが個性的で、緻密で、ピカピカしていて、小さくて、重くて、一言で言ってしまえば魅力的なのです。
さらにレンズ、レンズフード、距離計、ファインダー、露出計、セルフタイマーなど外付けでカメラに取付ける別売りの部品(アクセサリー)が、機種別にオリジナルなものや専門メーカーのものなどさまざまに用意されていて、これらがまた、さらに深みに誘う妖しい魅力をたたえています。カメラ収集というと、お金の心配をしてくれる向きもあるかもしれませんが、私の場合はネットオークションで年会費の要らないン千円未満で購入するのが基本なので、まずはお小遣いの範囲、ということでご心配には及びません。
思い起こせば、私の収集癖は子供の頃からのことで、いつでも何かは集めていたようです。記憶にあるコレクションのスタートは切手収集でした。その次はふりかけのオマケの「エイトマン」シール、学生時代には古本にはまりました。本は居を移すごとに随分整理してきたつもりですが、増えることがあっても減ることはありません。長男が小学1年生になったとき、夏休みの宿題のつもりで、子供のころ遊んだ広瀬川の上流に化石を探しにつれてゆきました。結果、化石収集にはまってしまったのは父親の方で、それからというものは子供をそっちのけで、休日のたびに化石産地をめぐっては採集をしました。現在手元にある標本箱だけでも結構な分量です。
そしてカメラが新たに加わり、日々コレクションは増殖しつつあります。目下の悩みは場所の確保です。なにせ本だの石だの金属機械だのが増える一方なので二階の自室の床が抜けないか心配だし、自分の領域から収集品がはみ出してしまい、奥さんに処分を通告されでもしたら困ってしまいます。そろそろ物を集めるのは止めても良いようにも思いますが、暫らくするとまた何かが欲しくなるのは目に見えています。その何かが今より大きなものや重たいものにならないとも限らないので、今のコレクションをやめるのはとても危険を伴うのです。
と、ここまで書いてハタと良いことに気が付きました。集めたカメラを使ってできるコレクションがありました。そうです写真を撮れば良いのです。これからは、カメラ集めはボチボチにして…
笑顔のコレクションを始めてみようと思います。
(A.M.)