第5話 前世は、やっぱりトドに違いない
私は、水遊びが大好きである。夏はプール、冬は寒いので温泉となる。泳がず、ただ水に浮くのが心地良い。
ハーレムには程遠いが、1対3の女強家族。ミニハーレムを作って回遊している。
最近のお気に入りは、サマーランドだ。あの流れるプールで、黒潮を思い、人工波で野生のカンを取り戻す。北は常磐ハワイアンズ、南は箱根ユネッサンまで、守備広く流れている。
リラックスするには、必ず浮き輪二本が必要となる。胴体と足に一本づつ装着する。全身の力を抜き水と戯れる ああ幸せ…。
浮力の恩恵で軽やかな動きは、水生動物ならではのもの。私の有り余る脂肪も、無駄ではなかった。この頃、海から上がった仲間達の不自由な気持ちが理解できる体重になってしまった。
水族館の仲間と目が合ったときのあの安心感は、なんだったのだろうか?
来世も、やっぱりトドに違いない。
(H.O.)