事業所長 武者明彦
昨年3月11日に発生した「東日本大震災」は、東北地方を中心に甚大な被害を残しました。この震災により多くの方がなくなりましたが、NHKの調査では総人口に占める死亡率が1.16%であるのに対して障害者手帳保持者の死亡率は2.08%、宮城県の調査では、全住民の死亡率が0.8%だったのに対し障害者は3.2%と非常に衝撃的な結果となっているようです。なぜそのような事態になったのかの検証は、今後想定されている大災害への備えとしても国の責任できちんと行うべきであると思います。
全国の障害関連団体が集う日本障害フォーラム(JDF)は、震災直後から被災地の障害者の支援活動を続けておりますが、昨年重点的に支援に入った宮城県に続き、今年度は福島県南相馬市と、岩手県陸前高田市に支援センターを立ち上げ、施設への職員派遣や、相談支援、通院介助、買い物同行などの支援活動を行っています。JDFからの情報によれば、障害者施設では、施設は再開し利用者は戻っても職員が避難のため地域を離れてしまって戻れず、以前のようにサービスを提供できない、いちごハウスが全滅してしまい、加工の作業がなくなってしまった。鉄道が破壊されてしまい公共交通機関が使えず、通院や買い物が思うようにできない、など厳しい状況が続いている地域もあるとのことです。
陸前高田市は、ニュースでもその被害のすさまじさが繰り返し報道されていたこともあって、国や県などの支援が相当につぎ込まれているものと勝手に想像していた部分があるのですが、JDFの要請を受けて現地に赴いたゼンコロ事務局員が見聞きしてきた現状は、唖然とする内容でした。鉄道は全壊状態なので公共交通機関はバスが朝昼晩それぞれ1便のみで、車いすの方は介護タクシーを利用するしかないが市内に2台しかなく、仮設住宅のほとんどは山の上にあり市内に広く分布しているが、巡回している入浴車は1台のみ。通院は気仙沼か大船渡の県立病院を利用するしかないが、タクシーを使うと往復で1万円前後かかる、などなど。
JDFいわて支援センターの事務局は仮設のコンテナハウス(16畳)で、センターに支援に入る人のための宿舎は事務局長の実家を開放して4、5人が泊まれるようにしているそうです。支援員は4人で、事務局長などは開設時から常駐状態になっていて交代要員もまま成らない状況のようです、支援センターの支援対象者は、手帳の有無にかかわらず障害のある方ですが、市の人口の4割を占める65歳以上の高齢者も支援対象となっているとのことで、人的にも資金面でも応援が必要な状況です。
社会福祉法人東京コロニーとしても、昨年度はゼンコロを通じて人的支援、物資、資金面での支援を継続的に行ってきましたが、こうした報告を受け、6月の所長会で今年度も引き続き支援活動を行うことを決めました。具体的には、7月から12月の間を一応のめどとして、東京コロニーすべての事業所から従業員を募り、陸前高田市のJDFいわて支援センターへ継続的に要員を送り込むことといたしました。また、人的支援に合わせ、第二次募金活動として一人500円を目標に「ワン・コイン募金」を実施し、ゼンコロを通じてJDFの支援活動の資金に充ててもらうことにいたしました。ワン・コイン募金については、別途お願いの文書をもってお知らせいたしますので、その折にはご協力をお願い申し上げます。