見えない壁に阻まれた迷路

 

こんな感じだったと思います(写真は秋津駅の階段)。

コロニー東村山ブログの11月25日の記事でも紹介しております「第23回アートビリティ大賞」授賞式、私もスタッフの一人として行ってまいりました。授賞式終了後は受賞作家展へも顔を出し、原画の生の魅力に触れ、作家さんの楽しいお話も聞くことができました。詳細については先の記事にも触れられていますし、アートビリティのブログ(ブログビリティ)でもご紹介しておりますのでそちらに譲り、ここでは数年前の授賞式・作家展の折に印象に残った出来事、その顛末をご紹介します。

その年の受賞作家展の柴山画廊からの帰路、銀座から同じ方面へ帰るSさん、Nさんと三人で徒歩で有楽町駅へ向かいました。電動車いすを使用しているSさんにとっては乗り換えが少ないほうが楽だろうと、地下鉄有楽町線の有楽町駅から西武池袋線に乗り入れる電車での乗り換えのないルートで帰ろうと考えたのです。たしか駅前のビックカメラの地下で駅に繋がっていたはずとの記憶を頼りに、店内から地下へエレベーターで降り駅へ向かいます――が、そこにとんでもないものが姿を現しました。

店舗と駅の間に、階段があったのです。ほんの数段です(たしか3~5段くらい)。Sさん、Nさん、私の記憶がテキトーでした。ごめん!

しかし電動車椅子でそこから降りるのは段数の問題ではありません。Sさんが使用している電動車椅子を担ぎ上げて階段を降ろすには二人じゃムリ!

駅が視界に入るところにいながらそこから逆戻りです。エレベーターのある改札へ至るまで有楽町駅の周辺をほぼ一周。駅周辺の地下街を通っては、階段やわずかな段差に行く手を阻まれ(途中東京国際フォーラムの地下でトイレ休憩)、……結局、約一時間を要してようやくホームに降りました。Sさん、Nさん、お疲れ様でした。

地下鉄・地下街を含むインフラが古くから多く、複雑な都心部ではこうした段差が意外と多いことに気づきました。歩ける自分が一人で通るときにはその存在をまったく気にも留めず記憶にも残らない「わずか数段」。それが、車椅子を使用している人にとっては行き止まりと同じ。細かい所に目を配れば都心部のみならず多くの場所にそれは潜んでいます。例えばエレベーターが動かないだけで、車椅子を使用している人たちは一人で自分がいるフロアからすら動くことができません。彼ら・彼女らはそんな潜在的な不安に常に囲まれています。

思い返せば3月11日の地震の当日、多くの人が帰宅困難に陥りました。中でも車椅子を使用している人たちはより一層です。自宅マンションのエレベーターが動かないから帰れないと言っていた人。鉄道が運行再開したあとでも駅のエレベーターが動いていないことを知って電車で帰ることを断念した人。よく知っていたはずの道筋すら、見えない壁に阻まれた迷路のようにその姿を変えてしまう。地震の折、先に述べた数年前の作家展からの帰路の顛末を思い出し、そうしたことに改めて気づかされました。

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