映画「あん」を鑑賞して

コロニーとかかわりのあるハンセン病というテーマ、コロニーのある東村山を舞台とする映画「あん」を営業部のSさんが鑑賞し感想をアップしてくれました


心に傷を持つ愛想なしの雇われどら焼き屋店主と、餡(あん)づくり名人が織り成す物語。それが映画「あん」。

舞台は我らが東村山。どら焼き屋は久米川が所在。映画に度々映る美しい自然に、ここ久米川?とスクリーンを凝視するほどの美しさ。黄色の電車も良かった。

どら焼き屋店主を永瀬正敏さん、餡づくり名人徳江(とくえ)さんを樹木希林さんが演じる。樹木希林さんの演技は正にプロフェッショナル。心が揺さぶられた。日本アカデミー賞、最優秀主演女優賞は決まりかと。第三の人物である中学生を樹木希林さんの実のお孫さんが演じている。自然体で天衣無縫。彼女がこれからどんな役者さんになるか楽しみだ。

映画の詳細に触れるつもりはないが、時江さんはご近所さんでお客様でもある全生園さんの療養所に暮らしている。後半、話はハンセン病が軸になる。怒られるかもしれないが、重いテーマをどのように表現するのか興味はあった。

観賞の感想を述べさせていただくと、淡々に話は進行していく。ホントたんたんに静かに。それでいて心に深く鮮やかに刻まれる。徳江さんが語る「生きる」という定義は新たな価値観でした。しびれた。

この映画を私は銀座で観た(この作品を勧めていただいたHさんは所沢で観賞)。銀座のマダムたちにはどのように映っただろう?観賞後、多くの人は泣いていた。「どら焼き食べたくなるね」なんて声もきこえた。

上映中、ハンセン病に関する説明はほぼない。多くを語らず静かなる問いかけに映画を観た人はきっと無知はダメだな、時江さんが自然や小豆の声にそうしたように、耳を傾けよう、そして知ろうとおもったに違いない。

良い映画でした。観賞後、外では奄美大島出身のカサリンチュが路上ミニライブをおこなっていた。「銀座も奄美も関係なく歌ってます」そう言っていた。

だよね。(S)


映画「あん」 http://an-movie.com/